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やまげの日記


by yamage1999

結核の診察・治療指針

さて今日は暇なので、一気に2つ目。
結核について。
んで、結核って言うのはこの頃増えているっていうのは有名な話。
昔はやせっちょろな文学青年の病気だったのだが、この頃は高齢者に起こりがちな疾患になってきたのだ。
今日のわが国の結核診断では、検診発見は20%。約80%が自覚症状による医療機関受信で発見されている。
即ち、結核診断において、個々の医師の「結核を疑い、診断する能力」が決定的な役割を果たしている。
ではここで、結核発生から治療までの簡単なチャートを見てもらおう。

結核の診察・治療指針_d0016728_13485099.jpg


ちょっと見にくいが、頑張ってほしい。
強く肺結核を疑う状態は、「2週間以上持続する咳・痰」である。
持続する咳は肺結核の7割以上に発現する、もっとも特徴的な症状である。
さらに、結核を他に伝染させる、もっとも主要な経路ということで無視できない症状である。

さてさてここで。
治療法とかはあんまり覚える必要ないと思うんですよ。
調べればわかるし、結核病棟の医者が治療することはあるかもしれないけど、
そうじゃない医者はなかなか治療までいかないでしょうから。
と、いうわけで、本日の主題は、
「結核を疑ったらどうするか」について。
意外と、「どうすんだ?」っておもうポイントじゃないですかね。

1)外来なら2回の連続検痰、入院なら3日間連続検痰をする。
通常の肺結核ならば治療開始が若干遅れても、適切な検体採取の努力を優先すべきである。
理由:
何らかの薬剤に対する薬剤耐性菌が5%ほどいるため、治療を誤って耐性菌を増やすリスクがある。
非定型抗酸菌の可能性がある。
例外:乳幼児結核。髄膜炎の場合。予後が決まってしまう可能性があるため。

2)塗抹検査で陽性の場合。
原則入院治療であるが、すぐ結核病棟に送ってはいけない。
非定型抗酸菌の可能性があるためだ。
検体直接核酸増幅法(PCRなど)で、判定をつけてから入院である。

3)患者、家族への説明
患者:
結核という伝染力のかなり強い疾患にかかったことを告げ、塗抹陽性なら入院治療しなくてはならないことを理解してもらう。
体内の生きた結核菌をほぼ完全に根絶しないと再発の可能性が高い。
よって、かなりの長期間。すなわり数ヶ月の入院、6ヶ月以上の投薬期間が必要であることを理解してもらう。
現在の化学療法は十分協力であり、規則的な治療をすれば必ず治る。が、しなければ耐性菌の出現をきたし、治療が著しく困難になることを理解してもらう。

家族:
同居家族内に乳幼児がいないかどうか。いるならすぐに専門施設受診を勧める。
何らかの有症状者がいれば同様である。
いない場合は結核発生届けを提出すると保健所が家族検診を行うので、それまで待っても十分余裕があることを伝える。
ここで留意すべきは、家族内、集団内での発病は、発端者の発病からかなり遅れること。
ピークは6ヶ月から1年。つまり約2年間は注意が必要である。

4)手続きの問題
結核発生届けを診断後2日以内に管轄保健所に必ず届け出なければならない。(国試のヤマ)
結核公費負担申請書は、外来医療なら34条、菌陽性、入院医療なら35条に○を付申請する。
35条該当なら全額負担である。
結核予防法、公費負担制度は外国人であっても現居住地が日本であれば、属地主義により日本人と変わらず適応される。

と、いうことである。
治療法は成書参照してください。
国試のヤマは治療法と副作用だが、一般臨床では上に書いてあるようなことが大事かな。

あ、あと、Xpについては省略しました。
典型的なパターン、といわれるものもあるが、それにとらわれてもいけないそうだ。
同じく成書をご参照ください。

ある教科書に面白いことが書いてあった。
以後、自分なりに平易な言葉で書きますが。

「一応言っとく結核、リンパ腫、サルコイドーシス。」
何かというと、どんなにありそうにない状況でも、この3つの疾患を鑑別診断に加えておかないと、思わぬ伏兵に出会う、ということらしい。
それほどこの3つの疾患の臨床増が多彩で、診断が難しいということなのだ。
だからカンファレンスなどで自分なりの診断、例えば肺癌やら何やらを言っておいたあとに、
「とは言うものの、一応結核の可能性も指摘しておきたいと思います」
などと一言添えておくと実は正解が結核だったりすることがある。
すると一躍「あいつは臨床がさえている」というあらぬ評価をいただけるそうだ。

とのことでした。
ホントかよ、と思う人もいるかもしれませんが、
けど実際臨床の場面でも、うちの呼吸器の新入院患者で、痰が出る人には(多分)全例、
「喀痰 抗酸菌検査」は、オーダーされています。これはホント。
毎日パソコンと向き合ってる俺が言うから多分ホント。
ご参考に。
by yamage1999 | 2005-05-21 14:35 | お勉強